銀行で資金調達、審査で抑えておくべきポイント。銀行との交渉を優位に進めよう。

どうも、サラリーマンブロガーのゆーすけです。

会社の資金繰りを考える際に避けて通れないのが、銀行での資金調達です。

そこで、経営者を悩ませるのが銀行との交渉ですよね。

借入金額、借入期間、金利、担保…等々

条件の交渉は多岐にわたります。

担当銀行員の提示する条件をそのまま受け入れてませんか?

もし担当銀行の提示条件をそのまま受け入れているのであれば、もっと優位な条件を引き出せる可能性があります。

今回は銀行の審査ポイントと条件交渉を優位にすすめる方法を紹介したいと思います。

 

銀行での資金調達、借入方法と種類

お金が必要になったといっても、必要になる理由は様々です。

「車両を購入するため」「不足する人件費を支払うため」「商品の仕入れのため」‥等

基本的には借入方法はお金が必要になる理由で異なってきます。

代表的な借入方法は下記の通りです。

お金が必要になる理由 借入方法
人件費、仕入、外注費等の諸経費支払 手形貸付、証書貸付、当座貸越
車両、土地、建物等の購入資金 証書貸付
商業手形等の現金化 手形割引

 

手形貸付

手形貸付は銀行に手形を差し入れる形で融資を受けます。

経常運転資金やつなぎ資金として1年以内の借入の場合利用されます。

・銀行に手形を差し入れる形で融資を受ける

・1年以内に返済する資金に利用される

・経常運転資金として利用される

・つなぎ資金として利用される

 

経常運転資金

経常運転資金は売掛金等の売上債権と商品等の棚卸資産から買掛金等の買入債務を除いたもので、恒常的に不足する資金のことです。

簡単にいうと、売上代金が入金になるまで企業が恒常的に立て替えている資金です。

算出方法は以下の通りです

経常運転資金=売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産(商品)-買入債務(買掛金+支払手形)

 

【例】
以下のような企業の場合、必要な経常運転資金はいくらにいなるでしょうか。

企業A

流動資産

流動負債

売掛金

1,500万円

買掛金

1,000万円

商品

500万円

 

 

経常運転資金1,000万円=売上債権1,500万円+棚卸資産500円-買入債務1,000万円

企業Aが必要な経常運転資金は1,000万円ということになります。

つまり企業Aは1,000万円以上の経常運転資金の借入は過剰融資になるので審査に通りにくいと言えます。

 

つなぎ資金

つなぎ資金は売掛金が入金されるまで、補助金が入金になるまでなど一時的に資金が不足する場合に利用する資金です。

・商品を販売して代金が入金されるまでに資金が不足するさいに利用される

・工事を受注し、工事代金が入金されるまでに利用される

・設備導入時の補助金が入金になるまでに利用される

 

手形貸付の注意点

手形貸付を利用する際の注意点は以下の通りです。

・返済期限に注意

・経常運転資金の書替時の資金繰りに注意

手形貸付は基本的には返済期限に借入金額を一括で返済しなければなりません。

もし返済期限に返せなかったらどうなるでしょうか?

返済期限に返済できないと『不渡り』になってしまいます。

不渡りを出すと全金融機関通知され、6ヵ月以内に2回不渡りを出すと銀行取引停止処分になります。

その企業の信用力は失墜し、事実上倒産となってしまいます。

 

証書貸付

証書貸付とは金銭消費貸借契約書に基づき、借入を行う方法です。

金銭消費貸借契約書には下記の内容が記されています。

・借入金額

・返済方法(返済日、返済間隔、等)

・返済期限

・借入利率

・遅延損害金

契約に基づき借入、返済を行っていきます。

証書貸付は基本的に長期運転資金、設備資金として利用されます。

返済期間は運転資金は5~7年、設備資金は法定耐用年数の範囲内となっています。

【例】
証書貸付が返済返済できるかみてみましょう。

借入金額 1,000万円 、借入期間 5年 、年間返済額 200万円

企業B 予想業績

当期利益 800万円
減価償却費 500万円
返済原資 = 当期利益 + 減価償却費

証書貸付の返済原資は当期利益と減価償却を足したものです。

返済原資 13,000万円 = 当期利益 800万円 + 減価償却費 500万円

企業Bをみてみると、年間返済額が200万円に対して返済原資が1,300万円と上回っており返済問題なしといえるでしょう。

 

証書貸付の返済の見極めのポイントは返済原資がどれだけあるかです。

返済原資が証書貸付の年間返済額を上回っていれば、返済問題なしといえるのでこのポイントを押えておきましょう。

 

証書貸付の注意点

・金銭消費貸借契約書をよく確認する

・長期的な返済計画を立てる

証書貸付は金銭消費貸借契約書に基づいて借入が行われるため、契約書は注意して内容を確認するようにしましょう。

契約後は基本的には契約変更できないですからね。

また、証書貸付は返済期間が5年以上になるケースが多いことから、長期的な返済計画を立てること重要です。

返済計画も立てずに借入を行い、途中で返済が困難になったら条件変更等の手続きをしないといけなくなってしまいますからね。

 

当座貸越

当座貸越とは限度額を設定し、その限度額までは自由に借りたり返したりできる借入方法です。

自由度が非常に高いことから使いやすさは抜群です。

・限度額を設定し、限度額内は借りたり、返したり自由にできる

・当座貸越は審査が非常に厳しい

当座貸越は非常に使い勝手の良い借入方法です。

例えば、受注や注文が急に増え、外注費や仕入費用が先行して突発的に資金が必要になったときなど当座貸越の契約があれば対応することができます。また、売上代金が入金となったら返済して借入残高を0にすることができます。

証書貸付や手形貸付は、都度銀行へ審査を依頼する必要がありますが、当座貸越の場合は利用額が限度額未満であれば何度でも出し入れ可能です。

資金調達する側からすると、銀行へ毎回審査を依頼をする手間がかかりません。

当座貸越は使い勝手が良い借入方法ですが、利用するには非常に厳しい審査を通過する必要があります。

その理由は、銀行の立場に立ってみれば当座貸越は非常に貸し倒れリスクが高いということがあげられます。

当座貸越は、一度限度額を設定すれば資金使途の確認ができず、反復利用されます。また、限度額いっぱいに借りっぱなしになる可能性もあります。

つまり、銀行としては回収に懸念のない信用力の高い企業のみに契約を許す貸出方法なのです。

 

当座貸越の注意点

・借りっぱなしに注意

・決算書等財務内容次第では突然契約廃止となるケースもある

当座貸越は非常に便利な借入方法ですが、借りっぱなしに注意です。

理由は借りっぱなしでは、当座貸越を利用するメリットが享受することができないからです。

当座貸越の本来の使い方は収入と支出のギャップの埋め合わせをするために利用すべきです。もし、限度額一杯に借りっぱなしになっていたら、いざというときに使えないですからね。

突発的な支払いに備え、余裕が出来たら随時返済し、できるだけ限度額は空けておくようにしましょう。

また、決算書の財務内容などが悪化した場合、当座貸越契約が廃止されてしまうこともあります。

銀行ごとに条件は違えど当座貸越は審査基準が厳しいです。

財務内容の悪化により、当座貸越契約が廃止された場合はどうなるのでしょうか。

利用残高がなければ、問題ありません。当座貸越契約を解約するだけですからね。

もし限度額いっぱいに借入をしていたらどうでしょうか?

その場合、利用残高を手形貸付や証書貸付に切り替えることになるでしょう。

仮に、証書貸付に切り替えた場合、毎月分割返済となることから返済負担が増えてしまうことになります。

 

手形割引

 

手形割引とは企業が受け取った商業手形を銀行が買い取る形で資金調達を行う借入方法です。

・手形割引は受け取った商業手形を担保に借入すること

得意先から受け取った商業手形は支払期日まで現金化されません。

そのため手形の期間が長い場合は、資金繰りに悪影響が出てしまいます。

それを改善するために、手形を銀行に買い取ってもらうのです。

支払期日になれば、手形が資金化され銀行へ返済したことになります。

簡単に言えば、商業手形の早期資金化です。

 

手形割引の注意点

手形割引で注意すべきことは、銀行に手形を買い取ってもらったからといって安心してはいけないということです。

もし、仮に手形を振出した企業が倒産して、期日に資金化されなかった場合どうなるでしょうか?

その場合は、銀行から買い戻し請求されます。

買い戻し請求された場合、銀行に買い取ってもらった手形(振出し企業が倒産)を銀行から買い取らないといけません。

【例】
買い戻し請求を例をとってみてみましょう。

A社はB社より商業手形1,000万円を受け取り、銀行へ割引を依頼。
のちにB社が倒産し、銀行から買い戻し請求を受けた。

①A社はB社より商業手形1,000万円受け取り。

②A社は銀行へ商業手形1000万円割引を依頼。

③A社は割引で1,000万円の資金調達。

④B社倒産

⑤銀行よりA社あて手形1,000万円の買い戻し請求。

⑥A社は銀行へ1,000万円の支払義務が発生。

 

手形割引は常に買い戻し請求のリスクがあるということ意識しておくことが大切です。

商業手形の振出し企業の経営が悪い場合、そのリスクが高まるため資金繰りに余裕を持った経営を行うことを意識しましょう。

 

銀行との交渉について

これまで、代表的な借入方法について学んできましたね。

いざ銀行へ借入審査の申込です。

でも、申込にはしっかりとした事前準備が必要です。

では、銀行へ審査を依頼する際のポイントをみていきましょう。

 

審査依頼時に事前に揃えておくもの

審査を依頼する際に事前に資料を揃えておく必要があります。

①基本的に必要な書類
決算書 
(3期分)
試算表
(前年同月分もあると理想)
資金繰り表
(6ヵ月程度分)
工事受注明細表
(工事業者の場合)
   
②設備資金の場合に必要な書類 ※①に加えて
見積書
(車両、機械等購入時)
土地・建物謄本、公図
(不動産購入時)
 
③手形割引の場合 ※①に加えて
商業手形    

審査を依頼する際は、上記の書類をしっかり揃えてから相談するようにしましょう。

事前に書類を準備していなかった場合、提出を依頼されてもすぐに対応できず、提出までに時間がかかってしまいます。

また、事前に書類を準備して審査依頼をした方が、審査もスピーディーに進みます。

銀行の審査担当者の立場にたっても、事前に書類が準備されていれば稟議書が書きやすいですからね。

さらに、事前に書類を準備している企業はしっかりしているという印象がもたれます。

 

借入条件の交渉

では借入条件の交渉をのポイントをみていきましょう。

借入金額

借入金額の交渉ですが、借入方法によっておおよその目安は決まってきます。

証書貸付
運転資金 資金繰り表を作成し不足額を算出
設備資金 見積書等の必要額まで
手形貸付
運転資金 経常運転資金の範囲内 
つなぎ資金 売掛金や補助金の範囲内
当座貸越
当座貸越 経常運転資金の範囲内

借入金額の交渉では、タブーなのは経営者が資金繰りを把握していないことです。

例えば
「いくら借りれる?」「資金繰りか厳しくて…とりあえず借りれるだけ借りたい。」などの発言は自社の資金繰りを把握しておらず、とりあえず借入できればいいという印象を銀行に与えてしまうのでやめましょう。

理想は
「受注が増えてきて、支払いが先行するので1,000万円の借入をしたいです。」など、なぜ必要か、いくら必要かを明確にしましょう。必要理由と金額が明確になっていたほうが、銀行の担当者も稟議書を書きやすいいですからね。

 

金利

経営者として一番気になるのが、金利ですよね。

できるだけ低い金利で借りるにはどうすればいいのでしょうか。

では、ポイントをみていきましょう。

 

銀行担当者の提案金利をそのまま受け付けてはだめ

銀行の担当者の提案金利をそのまま受け入れてはいけません。

銀行の担当者はある程度幅を持たせて金利の提案をしてきます。

そのため、交渉次第では引き下げ余地があります。

 

取引金融機関、借入申込は複数の金融機関に

まず、複数の金融機関と取引をするようにしましょう。

また、借入申込も複数の金融機関に申込みましょう。

金融機関によって、金利の条件は違ってきます。

複数の金融機関に申込むことによって、より良い条件を引き出すことができます。

複数の金融機関に申込んだら、金融機関からの印象が悪くなってしまうのではないかと思う方もいるのではないでしょうか?

そんなことはありません。

融資契約はビジネスです。

より良い条件の金融機関を選ぶのは当たり前です。

また、複数の金融機関と取引することで1つの金融機関から借入断られた場合も対応できるようにしておくことがベストです。

最低でも2つ以上の金融機関と取引をしておくようにしましょう。

 

まとめ

主な調達方法

お金が必要になる理由 借入方法
人件費、仕入、外注費等の諸経費支払 手形貸付、証書貸付、当座貸越
車両、土地、建物等の購入資金 証書貸付
商業手形等の現金化 手形割引

審査依頼時に用意する書類

①基本的に必要な書類
決算書 
(3期分)
試算表
(前年同月分もあると理想)
資金繰り表
(6ヵ月程度分)
工事受注明細表
(工事業者の場合)
   
②設備資金の場合に必要な書類 ※①に加えて
見積書
(車両、機械等購入時)
土地・建物謄本、公図
(不動産購入時)
 
③手形割引の場合 ※①に加えて
商業手形    

借入の交渉

・借入金額は目的金額を明確にする

・金利は銀行担当者の提案通りはダメ

・借入申込は複数の金融機関に

上記のポイントをおさえて銀行との交渉にのぞみましょう。

この記事でより良い条件で資金調達ができれば幸いです。